Saturday, December 11, 2010

米国における生涯教育









社会の変化が大きく、またビジネスのスピードが速くなっている現在の状況では以前大学や専門学校で学んだことが陳腐化し、社会に出て就職した後、新たな知識や能力を再度身につける必要性が高まっています。私の場合、日本にいた時に、大学を出た後、市谷にあった上智大学の国際ビジネス学科や町の英会話学校へ通ったことはありましたが、いずれも英語や英会話の能力向上が中心であったように思います。しかし、その後30年以上生活することになった米国では仕事関連の分野だけでなく、趣味の科目を含めて多くのクラスを取ってきましたので、そのことを紹介したいと思います。

米国では幾つかの学校や組織が様々な科目を教えていますが、ロサンゼルスでは専門学校を除けば、UCLAのExtension Program、各地域のCommunity College、さらに各市のAdult School が代表的なものです。

最初にUCLAのExtension Programは、社会人を主な対象として平日の夜や週末に開かれています。科目はビジネス関連の会計、金融、コンピューター、建築、医療、不動産などに加え、趣味的な分野でもある美術、音楽、娯楽、語学など大変多様です。私がニューヨークからロサンゼルスに移った時は米国の銀行に勤めていたこともあり、管理会計のクラスを1年間取りました。日本の会計学の基礎的な知識はありましたが、米国では利害関係者への会計事実の開示義務が明確で、より厳しい会計ルールが適用されていることを知りました。また、ある時期には国際ビジネス関係のクラスが幾つか開かれており、自分のビジネス経験を踏まえ、外国人を含めた他の社会人達との議論を楽しんだこともありました。ただし、Extension Programの授業料は州立大学であるUCLAの一部でありながら、社会人が主な対象であるために高かったように思います。

一方、各地域のCommunity Collegeは2年間の短大の性格を持っており、履修者は4年制の大学へ入学できなかった学生が多く、3年次に4年制大学へ編入するために必要な教養課程の単位取得を目指しています。しかしながら、夜間は昼間働いている社会人のための科目も多く、私は米国株式投資のクラスやカリフォルニア州の不動産ブローカーライセンス取得に必要な8科目をPasadena City Collegeで取りました。Community Collegeの授業内容や成績評価は主な対象が大学生であるため、UCLAのExtension Programより厳しく、テストだけでなく、授業への議論参加度合いも成績評価の対象になっています。その他、Pasadena City Collegeでは語学関係の科目も多く、私の場合、スペイン語、中国語、イタリア語のクラスを取りました。しかし、漢字に共通性のある中国語を除けば、時間的な制約もあり、身につかなかったように思います。なお、Community Collegeの授業料はカリフォルニア州の居住権があると極めて安いのが特徴です。


以上は大学関係でのプログラムでしたが、各市が運営しているAdult Schoolも実務や趣味に関係したクラスを開いており、役に立ちました。特に、私の場合、コンピューター関係のクラスはWord、Excel、Power Point等の科目をAdult Schoolで取りました。また、市が運営しているため、授業料は極めて安く、懇切丁寧に教えてくれるのが特徴です。

最後に、専門学校ですが、語学だけでなく、自分の仕事に直結する科目を教える専門学校も少なくありません。私の場合、カリフォルニア州の不動産ライセンス(セールスパーソンとブローカーの2種類)を取るために、不動産の専門学校に行きましたが、テスト合格のための実践コースであり大変有益でした。なお、日本から米国への不動産投資が盛んな時に、日本でカリフォルニア州の不動産セールスパーソンライセンスが日本で取れるようなプログラムをカリフォルニア州の不動産専門学校との間で設立したことがありましたが、日本の米国向け不動産投資ブームが去った後はそのプログラムは無くなってしまいました。専門学校の授業料は大学や市が運営しているプログラムに比べ、どうしても高くなります。

こうして、ロサンゼルスでは幾つかの大学や組織が生涯教育に必要な様々な科目を教えていますが、最初の3つについては、カリフォルニアにおける州政府や市が抱える大きな財政赤字のために、最近では教える科目を減らしたり、授業料を上げているところも少なくありません。この点、カリフォルニア州が財政赤字を早めに立て直し、従来あったような生涯学習に必要な多様な科目を、安い授業料で再び教えてもらいたいと思っています。


JIPANGU

Monday, October 18, 2010

米国の大学留学と社会体験の奨め














ここ4,5年、米国に留学する日本人学生の数が著しく減少してきているといわれています。それに引き換え、中国、韓国、インドからの米国への留学生は急増しているようです。

日本人留学生が減少している理由の一つは、日本の就職活動が年々早くなり、今では3年生の秋学期から始まるため、留学することが不利になるとの判断があるようです。もし、そうであれば、受け入れる企業側で選考時期の検討が必要であるように思います。2年間の教養課程を修了しただけの学生に試験や面接をしても、学生の能力について十分な評価はできないと思います。加えて、今のようにグローバル化の波が急速に進んでいる時に必要とされるのは、専門知識をベースとした異文化コミュニケーション能力であり、企業側も学生にはそうした機会を極力得てくるように奨励すべきと思います。やはり、受け入れる企業側は学生には就職活動の前に大学で十分勉強してもらうべく、選考時期については以前あったように4年生の秋以降に行なうのが適切であるはずです。

米国への留学生が減少している他の理由は、日米間の経済格差の縮小や情報コミュニケーションの発達もあり、米国で学ぶことが少なくなってきているといわれています。確かに、ここ30年近く、米国へ留学し、日本へ戻った教授や研究者の数が大変多かったことからすれば、米国の大学で教えられている専門科目の内容は日本の大学でも多くが取り入れられています。しかし、米国の大学で教えるのは取得した知識を使って実際の社会の問題に対応できる能力を育てることであり、そこでは社会での新しい動きに応じて、教える内容も常に変化していく性格を持っています。私は30年以上も前に米国の2つの大学院で学んだことがありましたが、日本の大学で始まったばかりの国際関係論の学問が米国の多くの大学で既に一般化されていました。特に、私が強い興味を持っていた国家間の経済的利害関係が与える国際政治への影響について、体系的に学ぶことが出来たことは大きな収穫でした。恐らく、そうした米国の大学の特徴は、今でも変わっていないはずで、基礎的な知識を積み上げながら、より複雑になった内外の社会問題に取り組んでいると思います。この点、米国の大学への留学は日本人の学生にとって、依然大きな刺激になると信じています。

加えて、米国の大学の魅力は専門分野の問題を担当教授の指導の下に、同じクラスの学生達と議論しながら、自分の意見をまとめ、相手に伝えていく能力を養うことにあります。米国の場合、クラスにいる学生のバックグランドは多岐に渡っており、そうした学生達の間で自分独自の意見を上手に伝えていくためには、語学の訓練と同時に、論理的な思考方法が必要になります。こうしたことは日本ではあまり経験しないために、最初は苦痛になりますが、何度か繰り返すと次第に慣れてくるように思います。私の場合、米国で日本企業の駐在員を辞めた後、米国大手銀行のニューヨーク本店とロサンゼルス支店に10年ほど勤務しましたが、社内のコミュニケーションの上で、米国の大学に留学した経験が大変役に立ったことは言うまでもありません。当時と比べ、日本の企業も米国の企業もビジネスのグローバル化がはるかに進んでいますので、こうした米国の大学での経験は異文化コミュニケーション能力を高めることになり、大きなプラスになるはずです。

最後に、米国の大学への留学と並んで、絶えず進化する米国の社会を体験することも重要であると思います。私の場合、米国で不動産プロジェクトにも多くの関わりを持ち、特にショッピングセンタープロジェクトではニューヨークとシカゴで米国のパートナーと一緒に開発プロジェクトを進めたこともあり、随分勉強させてもらいました。1980年代前半までは大きなデパートメントストアが中心のテナントであるショッピングセンターが一般的でしたが、そこに家族が一緒に楽しむ場所として、フッドコートや映画館のようなエンターテイメントの要素を加えたり、屋内に小型遊園地を備えたミネアポリスのMall of Americaのような大規模ショッピングセンターが現れました。また、1980年代後半の米国不況期には、工場跡地を使ったファクトリーアウトレットモールが全米各地に建設されました。日本でも、様々なショッピングセンターがオープンしていますが、その大半は米国のショッピングセンターを模倣したものが多いように思います。今、私が注目しているのは、数年前にオープンしたロサンゼルスの北部グレンデール市にあるAmericanaという複合プロジェクトで、デパートメントストア、多くの専門店、ライブラリーを思わせる大手のブックストア、ホテル、大きな噴水や乗り物などのエンターテイメントなどに加えて、高級なコンドミニアムがあり、衣食住の全てをそろえたプロジェクトになっていることです。こうした新しいタイプのショッピングセンターの発展を見ることができるのも、米国の魅力の一つになっていると思います。

いずれにしても、米国は世界の多様な人種の人達がミニマムの規制の中で、自由かつ創造的に様々な試みをしている国であり、今後も世界をリードする学問や社会のトレンドを作り出していくはずです。この点、日本の若い人達には是非海外、特に米国に留学し、多くのことを学んで欲しいと思っています。




JIPANGU