
ここ4,5年、米国に留学する日本人学生の数が著しく減少してきているといわれています。それに引き換え、中国、韓国、インドからの米国への留学生は急増しているようです。
日本人留学生が減少している理由の一つは、日本の就職活動が年々早くなり、今では3年生の秋学期から始まるため、留学することが不利になるとの判断があるようです。もし、そうであれば、受け入れる企業側で選考時期の検討が必要であるように思います。2年間の教養課程を修了しただけの学生に試験や面接をしても、学生の能力について十分な評価はできないと思います。加えて、今のようにグローバル化の波が急速に進んでいる時に必要とされるのは、専門知識をベースとした異文化コミュニケーション能力であり、企業側も学生にはそうした機会を極力得てくるように奨励すべきと思います。やはり、受け入れる企業側は学生には就職活動の前に大学で十分勉強してもらうべく、選考時期については以前あったように4年生の秋以降に行なうのが適切であるはずです。
米国への留学生が減少している他の理由は、日米間の経済格差の縮小や情報コミュニケーションの発達もあり、米国で学ぶことが少なくなってきているといわれています。確かに、ここ30年近く、米国へ留学し、日本へ戻った教授や研究者の数が大変多かったことからすれば、米国の大学で教えられている専門科目の内容は日本の大学でも多くが取り入れられています。しかし、米国の大学で教えるのは取得した知識を使って実際の社会の問題に対応できる能力を育てることであり、そこでは社会での新しい動きに応じて、教える内容も常に変化していく性格を持っています。私は30年以上も前に米国の2つの大学院で学んだことがありましたが、日本の大学で始まったばかりの国際関係論の学問が米国の多くの大学で既に一般化されていました。特に、私が強い興味を持っていた国家間の経済的利害関係が与える国際政治への影響について、体系的に学ぶことが出来たことは大きな収穫でした。恐らく、そうした米国の大学の特徴は、今でも変わっていないはずで、基礎的な知識を積み上げながら、より複雑になった内外の社会問題に取り組んでいると思います。この点、米国の大学への留学は日本人の学生にとって、依然大きな刺激になると信じています。
加えて、米国の大学の魅力は専門分野の問題を担当教授の指導の下に、同じクラスの学生達と議論しながら、自分の意見をまとめ、相手に伝えていく能力を養うことにあります。米国の場合、クラスにいる学生のバックグランドは多岐に渡っており、そうした学生達の間で自分独自の意見を上手に伝えていくためには、語学の訓練と同時に、論理的な思考方法が必要になります。こうしたことは日本ではあまり経験しないために、最初は苦痛になりますが、何度か繰り返すと次第に慣れてくるように思います。私の場合、米国で日本企業の駐在員を辞めた後、米国大手銀行のニューヨーク本店とロサンゼルス支店に10年ほど勤務しましたが、社内のコミュニケーションの上で、米国の大学に留学した経験が大変役に立ったことは言うまでもありません。当時と比べ、日本の企業も米国の企業もビジネスのグローバル化がはるかに進んでいますので、こうした米国の大学での経験は異文化コミュニケーション能力を高めることになり、大きなプラスになるはずです。
最後に、米国の大学への留学と並んで、絶えず進化する米国の社会を体験することも重要であると思います。私の場合、米国で不動産プロジェクトにも多くの関わりを持ち、特にショッピングセンタープロジェクトではニューヨークとシカゴで米国のパートナーと一緒に開発プロジェクトを進めたこともあり、随分勉強させてもらいました。1980年代前半までは大きなデパートメントストアが中心のテナントであるショッピングセンターが一般的でしたが、そこに家族が一緒に楽しむ場所として、フッドコートや映画館のようなエンターテイメントの要素を加えたり、屋内に小型遊園地を備えたミネアポリスのMall of Americaのような大規模ショッピングセンターが現れました。また、1980年代後半の米国不況期には、工場跡地を使ったファクトリーアウトレットモールが全米各地に建設されました。日本でも、様々なショッピングセンターがオープンしていますが、その大半は米国のショッピングセンターを模倣したものが多いように思います。今、私が注目しているのは、数年前にオープンしたロサンゼルスの北部グレンデール市にあるAmericanaという複合プロジェクトで、デパートメントストア、多くの専門店、ライブラリーを思わせる大手のブックストア、ホテル、大きな噴水や乗り物などのエンターテイメントなどに加えて、高級なコンドミニアムがあり、衣食住の全てをそろえたプロジェクトになっていることです。こうした新しいタイプのショッピングセンターの発展を見ることができるのも、米国の魅力の一つになっていると思います。
いずれにしても、米国は世界の多様な人種の人達がミニマムの規制の中で、自由かつ創造的に様々な試みをしている国であり、今後も世界をリードする学問や社会のトレンドを作り出していくはずです。この点、日本の若い人達には是非海外、特に米国に留学し、多くのことを学んで欲しいと思っています。
JIPANGU
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